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副鼻腔囊胞[私の治療]

No.5007 (2020年04月11日発行) P.45

飯村慈朗 (東京歯科大学市川総合病院耳鼻咽喉科准教授)

登録日: 2020-04-12

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  • 副鼻腔囊胞は副鼻腔自然口の閉塞によって閉鎖腔となり,腔内に分泌液が充満し拡大や周囲骨壁の圧排・破壊を認めるものである1)。その成因は,炎症・外傷・手術・解剖異常・腫瘍などがある。わが国では術後性上顎囊胞が最も多く,ついで前頭洞囊胞が多く,篩骨洞・蝶形骨洞囊胞が続く。術後性上顎囊胞は,Caldwell-Luc法で粘膜除去を行う上顎洞根本手術後に長時間(10数年)を経て形成される囊胞である。囊胞内容の貯留による内圧のため洞の骨壁は圧排性に拡大し,変形する。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    経過が緩慢であるため,相当病変が進行してから自覚症状が出現する。拡大や圧排による顔面形態の変化・流涙・眼球運動障害・視力障害・頭痛など周辺臓器に影響を与えるほか,感染により疼痛を伴う急性増悪を起こす。頭蓋底に接した囊胞が非常に大きくなると,頭蓋底骨が吸収され脳硬膜に接するようになる。眼窩壁に接した囊胞が大きくなると,眼窩壁が吸収され眼球を圧排し,眼球突出・眼球偏移などが生じ複視となる。上顎洞囊胞では頰部腫脹・頰部しびれ・歯痛・流涙などを起こし,前頭洞囊胞では前額部腫脹・眼球突出・頭痛・複視などが生じる。後篩骨洞や蝶形骨洞に発生する後部副鼻腔囊胞は,眼球運動障害・視力障害といった重篤な合併症を起こす可能性がある(図)。

    【検査所見】

    問診では,既往歴で顔面外傷や副鼻腔手術の有無を問う。副鼻腔手術の既往がある場合には,術後性上顎囊胞を疑う。鼻腔内にはあまり所見がないことが多く,診断は画像診断となる。副鼻腔CTでは,洞あるいは1つの蜂巣内が完全に軟部組織濃度で占拠され,これを囲む骨壁の膨脹性変化を認める2)。通常,類円形を呈する軟部組織濃度腫瘤として認められ,時に骨壁の圧排性浸食像を伴う(図)。MRIでは,囊胞内の液性内容物が確認されるが,内部の信号強度はその性状により様々である。CTで術後性上顎囊胞が疑われるも,MRIで囊胞上皮および内容物が確認できず肉芽瘢痕組織のみであることもあり,注意を要する。

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