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がんの肝転移に対するラジオ波焼灼術(RFA)の適応と動脈化学療法との併用の可否は?

No.4942 (2019年01月12日発行) P.59

堀 信一 (IGTクリニック院長)

椎名秀一朗 (順天堂大学大学院医学研究科画像診断・治療学講座教授)

登録日: 2019-01-11

最終更新日: 2019-01-08

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  • 最近,肝細胞癌のみならず,様々ながんの肝転移に対してラジオ波焼灼術(RFA)が行われはじめています。良好な局所効果を得ることができ,様々な肝転移の治療の選択肢として期待できると思います。治療に用いるラジオ波とマイクロ波の違い,どのような病態であれば積極的に適応できるのか,全身化学療法との併用が望ましいのか,動注化学療法との併用は可能なのかを,この治療の第一人者である順天堂大学・椎名秀一朗先生にお聞きしたいと思います。

    【質問者】

    堀 信一 IGTクリニック院長


    【回答】

    【腫瘍減量的な可能性がある場合には化学療法を併用すべきである】

    がんの肝転移に対するラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation:RFA)と化学療法との併用については,根治的にablationができるならば併用不要です。標的病変全体を100%焼灼でき,他の部分にも病変がないならば化学療法は不要です。100℃に熱して生き残るがん組織はありません。

    ただし,ablationが腫瘍減量の場合,あるいは腫瘍減量的な可能性がある場合,すなわち異所であっても局所であっても再発する確率が高いと考えられる場合には化学療法を併用すべきと考えます。たとえば,標的病変が大きくなればablationを実施しても病変の一部が遺残する可能性があります。したがって,3cmを超える病変で,有効な化学療法があるならば,まず化学療法を実施して病変を縮小してからablationを行ったほうがよいと考えます。完全焼灼できる確率が高まり,大きな体積をablationすることに伴う発熱や疼痛などの反応も少なくなります。また,多発肝転移症例では画像診断で検出できない微小病変に対する効果を期待してablation後に化学療法を実施したほうがよいと考えます。一般に大腸癌肝転移症例では,根治的切除を行っても5年無再発生存率は20~30%とされています。すなわち,ほとんどの症例では微小転移が存在します。病変が4個以上ある症例では術後化学療法は必須でしょう。

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