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気管内腫瘍焼灼術におけるエネルギーデバイスの選択 【高周波,レーザー,マイクロ波など,有茎の腫瘍や止血,高濃度酸素使用時など用途により選択】

No.4903 (2018年04月14日発行) P.53

中道 徹 (兵庫医科大学呼吸器外科)

登録日: 2018-04-13

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気管内腫瘍の頻度は,肺腫瘍の1.9%と少ないが1),腫瘍による気道狭窄症状に対して姑息的気管内治療が必要となることがある。同一患者で複数回の治療を要することも稀ではない。

気管内治療のデバイスにおいて,高周波凝固切開装置は,いわゆる電気メスと同様の機構である。鉗子先端と体に貼った対極板の間,もしくは電極間に通電させて,通電した組織を破壊する。特にリング状になった電極間を通電させるスネア鉗子は,有茎の腫瘍に対して有用である。組織内を直接通電させるため,組織破壊性が強く止血力も強い一方で,焼灼した組織が固く炭化して腫瘍の減量に難渋することもある。

レーザー凝固装置はYAG結晶中で光を増幅・放出し,APCはアルゴンガス中にプラズマ放電を起こし,ともに吹き付けるような組織破壊を行う。深部までの破壊力はないが,高温で広く焼灼でき止血に有用である。マイクロ波凝固切開装置は,電磁波で組織内の水分を加熱し組織を破壊する。他のデバイスと違い水の沸点程度の低温で焼灼でき,組織破壊力は小さいが組織の炭化は少なく,また高濃度酸素もある程度許容できる利点がある2)。腫瘍の性状や形状,局在は多岐にわたり,気管内焼灼においてこれらのエネルギーデバイスを状況に応じて使いわけることが,安全で効果的な気管内治療のためには重要である。

【文献】

1) 日本呼吸器内視鏡学会, 編:気管支鏡 第2版. 医学書院, 2008.

2) 瀬戸貴司, 他:気管支学. 1996;18(5):430-6.

【解説】

中道 徹 兵庫医科大学呼吸器外科

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