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慢性腎臓病(CKD)における腸内細菌叢の役割【尿毒素の蓄積,炎症などに関与するため,病態改善の標的のひとつとして注目】

No.4893 (2018年02月03日発行) P.52

丹羽利充 (修文大学学長)

三島英換 (東北大学病院腎高血圧内分泌科)

阿部高明 (東北大学大学院医工学研究科・医学系研究科 教授)

登録日: 2018-02-06

最終更新日: 2018-01-30

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  • 慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)による末期腎不全では,腸内細菌由来の尿毒症毒素が血中に蓄積し腎機能をさらに低下させるなど「腸腎連関」が問題となっています。
    CKDにおける腸内細菌叢の役割,特に腎不全の治療ターゲットとしての腸内細菌叢の可能性について,東北大学・阿部高明先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    丹羽利充 修文大学学長


    【回答】

    腸内細菌叢の変化は全身の様々な疾患の病態に関与することが近年注目されており,CKDとの関連も明らかになりつつあります。

    まず腸内細菌叢はCKD時の尿毒素の蓄積に関与します。尿毒素は腎機能の低下に伴って体内に蓄積し生体に有害な作用を示す物質の総称ですが,代表的尿毒素であり腎障害の進行促進や心血管障害の発症に関与するインドキシル硫酸やp-クレシル硫酸,さらに近年その動脈硬化促進作用が注目されているトリメチルアミン-N-オキシドはいずれも大腸内に到達した食事中の蛋白質成分を材料として腸内細菌叢の代謝を経て産生されるものです。

    また,腸内細菌叢はCKD時における炎症にも寄与します。CKDでは腸管上皮のバリア機能の低下が生じ腸管透過性が亢進しているため,腸管内の細菌が血中や他臓器に移行するとされています。実際にCKD患者では明らかな感染症がなくても血中に微量のエンドトキシンや腸内細菌の構成成分が検出されることが報告されており1),この腸内細菌移行が腎障害の悪化要因でもある全身炎症の一因になるとも考えられています。

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