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横倉氏の世界医師会長就任、欧米と異なる視点への期待[お茶の水だより]

No.4879 (2017年10月28日発行) P.16

登録日: 2017-10-26

最終更新日: 2017-10-26

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▶日本医師会会長の横倉義武氏が世界医師会(WMA)会長に就任した。横倉氏は就任の言葉として、経済学者・宇沢弘文氏の言葉を引き、医療を「世界全体の社会的共通資本」にすることを理想に掲げ、国民皆保険の下で長寿を実現した日本の医療システムを世界に発信すると抱負を語った。
▶WMAに加盟する110カ国以上の医師会を統率する横倉氏が対応すべき課題は多様をきわめる。途上国からは公衆衛生の向上に期待を寄せる声が大きいというが、「世界最高水準の長寿国の会長」には、終末期医療に関しても指導力を期待したい。
▶横倉氏はWMA総会に先立つ9月、アジア大洋州医師会連合(CMAAO)の東京総会で会長に就任している。総会では、医師が致死量の薬物を患者に処方して自殺を幇助する「積極的安楽死」に対し、「反対」の見解で一致した。欧米の一部の国・州では積極的安楽死を合法化する動きがあり、CMAAO加盟国の中でも、豪ビクトリア州では合法化論議が活発だ。積極的安楽死は患者を救う「医療」とは対極の概念と言える。危機感を抱くWMAは各地域医師会連合に意見集約を求めている。
▶横倉氏はCMAAO総会後、「家族・地域社会との結びつきが強く、多様な宗教が入り混じるアジアとして、積極的安楽死に“ノー”の意思を確認できた」と議論の成果を強調。WMAにおける宣言の採択につなげたいとの意欲を示した。
▶積極的安楽死については今後、欧州医師会連合などでも議論される。WMA会長の任期は1年間。WMAとしての結論は早々に出せないかもしれない。しかし、欧米とは異なる長寿国の視点を持つ人物の下で、患者の「尊厳ある死」の実現について議論が進められる意味は大きいのではないか。

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