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ライフステージ別支援を強化、受動喫煙ゼロは見送り【がん対策推進基本計画】

No.4879 (2017年10月28日発行) P.13

登録日: 2017-10-24

最終更新日: 2017-10-26

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政府は24日、2022年度までの国のがん対策の基本方針となる「第3期がん対策推進基本計画」を閣議決定した。分野別施策では①がん予防、②がん医療の充実、③がんとの共生─を柱に据え、がん患者がライフステージごとに異なる問題に直面することに着目した支援を充実させる方針を明確化している。

第3期計画では、がんと診断された時からの緩和ケアを推進するとともに、相談支援・情報提供体制を整備。医療機関や職場によるがん患者の就労支援を含めた「サバイバーシップ支援」を強化する。

小児・AYA世代(思春期・若年成人)については、医療従事者に対し、長期フォローアップに関する教育を充実させる。高齢世代については、認知症等を合併したがん患者や、看取り期における患者の意思決定を支援するため、新たに診療ガイドラインを策定し、拠点病院等に普及していくことを検討する。

受動喫煙対策を巡っては、厚生労働省の「がん対策推進協議会」が6月に「飲食店、職場、家庭など全ての場所でゼロにする」ことで一致していたが、健康増進法改正案の国会提出にメドが立っていないことから、計画への数値目標の記載は見送った。数値目標については法案提出を踏まえ、別途、閣議決定する。

がんの早期発見(2次予防)に向けては、市町村が実施するがん検診(対策型検診)の受診率を、現状の30~40%台から「全てのがん種において50%」とする目標を掲げた。精密検査の受診率も90%に引き上げる。

第3期計画は、第2期計画と異なり、がん死亡率減少の数値目標が盛り込まれていない。その代わりに目立つのは「患者のQOL」という言葉だ。がんと共によりよく生きるという視点が強く反映されたところに今回の計画の特徴が表れていると言える。(F)

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