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(3)脳動脈瘤の最新治療─ステント併用コイル塞栓術,フローダイバーターなど [特集:未破裂脳動脈瘤の考え方─経過例から手術適応を考える]

No.4774 (2015年10月24日発行) P.29

結城一郎 (東京慈恵会医科大学脳神経外科学講座講師)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2021-01-05

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  • 脳血管内治療技術の進歩に伴い,脳動脈瘤の血管内治療症例数は増加傾向にある。一方では治療の問題点,改善されるべき点が明らかになってきた

    新たな治療デバイスの進化に伴い,治療適応の拡大が行われてきた。特に,ステント併用コイル塞栓術により,ワイドネック動脈瘤の治療が広く行われるようになってきた

    ステントのメッシュを密にすることにより,動脈瘤内に流入する血流量を制御するフローダイバーター(FD)が欧米で使用されはじめた。最近になり第1世代のFD(Pipeline)が国内においても薬事承認を通過し,使用が開始された。今後の治療成績が期待される

    動脈瘤治療デバイスの進歩に伴い,治療方法の変革が起こっている。治療困難症例に対しての治療成績の向上が期待されている

    1. 脳動脈瘤に対する脳血管内治療の問題点

    脳血管内治療技術の進歩に伴って,脳動脈瘤に対する血管内治療は,多くの国で第一選択として考えられるようになった。また,一方では,現行治療の問題点について多くの議論がなされ,その効果と安全性に関して数々の臨床研究が行われ,その問題点や克服されるべき点についても論じられるようになってきた1)
    開頭クリッピング術における最大の問題点が,治療に伴う侵襲性の高さであるとするならば,脳血管内治療の最大の問題点は,その長期的有効性にあると考えられる。Koebbeら2)は,治療後の患者の7.2%は再治療を要すると報告しており,現在の治療の有効性をさらに向上させるための努力が続けられている。それらの再治療の原因の多くは,治療後に認められる再開通(もしくは治療後の動脈瘤増大)に起因している。そして,その再開通の原因に最も関与しているのが,coil compactionと呼ばれる現象である。
    現在治療に用いられているコイルデバイスはきわめて細い(100~150μm)プラチナワイヤーがスプリング状にたたみ込まれることによってつくられており,そのためきわめてやわらかい素材を作り出すことが可能になっている。
    動脈瘤の菲薄化した内壁を損傷せずに瘤内を充填するためには,きわめて柔軟な素材であることが求められるが,同時に塞栓後も持続的な拍動性の血流にさらされるため,時間とともに瘤の先端部に押し込まれ部分的に再開通が起こる可能性がある。それがcoil compactionである。この現象は,初回治療時の瘤内の体積・塞栓率が最も関与していると考えられる。体積・塞栓率が高ければ高いほど瘤内の相対的金属量が多くなり,再開通のリスクが軽減するとされる。

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