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初診料282点、再診料72点で決着─外来に「地域包括診療料/加算」【どうなる?診療報酬改定】

No.4685 (2014年02月08日発行) P.6

登録日: 2014-02-08

最終更新日: 2017-09-19

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【概要】中医協は12日に改定案を答申する。診療側と支払側の間で意見集約ができなかった消費税率8%への引上げに伴う対応については、ほぼ全額を基本診療料に充てることで決着した。

中医協(森田朗会長)は5日に総会を開き、2014年度診療報酬改定案の答申に向け、結論が持ち越しとなっていた消費税率8%への引上げに伴う対応について最後の議論を行った。裁定を委ねられた森田会長ら公益委員は、「今回の限られたデータの中で対応せざるを得ないとすれば、可能な限り分かりやすい形で上乗せすることを重視すべき」との判断を示し、ほぼ全額を基本診療料に充てることを決めた。

支払側「国民と加入者に説明できない」

これに先立つ1月29日の総会では、消費税への対応を巡り診療側委員と支払側委員の意見が真っ向から対立。初診料プラス12点、再診料プラス3点などとする厚労省案に対し、診療側は賛成したが、支払側は強く反対し、最終結論を公益委員の裁定に委ねることとなった。

厚労省案に「全く受け入れることはできない」と激しく抵抗したのが白川修二委員(健保連)。「消費税分科会の中間取りまとめでは基本診療料に個別項目を組み合わせるとしていた」と指摘し、公平性の観点から他の個別項目へも一定程度の振り分けが必要と強調した。厚労省案では、初・再診料が医科4%増、歯科7%増となり、3%という消費税率引上げ分を上回ることも問題視。「国民と加入者に説明できない」と訴えた。

これに対し中川俊男委員(日医)は「(上乗せ分が)3%を超えるというが実際の負担増は0.5%増程度だろう。これでなぜ国民の理解が得られないか教えてほしい」と反論。白川委員は「税率が3%上がるのであればすべて3%上げるのが税の考え方」と原則論を展開した上で、「患者の公平感を考えてもらわないと説明できない」と改めて訴えた。

そうした中で安達秀樹委員(日医)は「折り合わないのであれば公益裁定に委ねるしかない」と提案。「我々も我慢している上で公益裁定を提案している」と理解を求め、支払側委員も公益裁定による決定を最終的に了承した。

5日の総会で公益裁定を示した森田会長は、個別項目への対応が技術的に困難なことなどを踏まえ「基本診療料・調剤基本料に点数を上乗せすることを中心に対応」するとし、初診料12点増(282点)、再診料3点増(72点)入院料等は約2%増とする方針を示した。

これを受け、白川委員は「公益裁定と言うからには両者の主張を踏まえたものであるべき。この結論は一方的に診療側の意見を汲んだもので極めて不満」としながらも、裁定に従う意向を示した。

  

12日に改定案答申へ

中医協は5日の総会で、個別改定項目案についての議論を終え、12日に改定案を答申する。以下、個別改定項目案のうち医療機関の体制整備に影響する項目に絞ってポイントを解説する(個別改定項目案の全文は本誌ホームページの2014年度診療報酬改定関連資料から閲覧できます)。

●外来は主治医機能を包括評価

2014年度診療報酬改定で注目されるのは、地域包括ケア体制の整備に向け、「地域包括」の名称がついた項目が多数新設された点だ。外来では「地域包括診療料」と「地域包括診療加算」が導入される。地域包括診療料は高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4つの慢性疾患のうち2つ以上を持つ患者に対する指導・服薬管理を包括的に評価(月1回)するもので、年齢制限はない。対象医療機関は診療所と200床未満の病院。算定要件に介護保険や在宅への十分な取り組みが求められるなど、病・診ともにかなりハードルの高い点数といえる。

一方、地域包括診療加算は患者の服薬管理や健康管理に要件を限定し、再診1回ごとに算定できる。時間外対応加算2算定も在宅医療要件に含めるなど、多くの診療所が算定しやすいものとなっており、点数設定が注目される。

●‌「3歩も4歩も進んだ機能分化」7対1病床を大幅削減へ

今改定のもう1つの特徴は、2025年の医療提供体制の将来像に向けた病床の機能分化を促進するため、大きく再編の舵が切られたことだ。7対1入院基本料の算定要件を厳格化(別掲)し、現在30万床を超える算定病床の大幅削減に向けた方針が打ち出されている。13対1、15対1と同様に7対1、10対1入院基本料算定病棟でも特定除外制度を廃止するほか、看護必要度の要件見直し、在宅復帰率やデータ提出加算の届出も要件として新設され、より急性期の患者に特化した機能を求めている。万代恭嗣委員(日病)は「前回改定は2025年に向けた第1歩だったが、今改定は3歩も4歩も進んでしまった印象」として診療報酬での誘導による急激な変化を懸念した。

特定除外制度の廃止については4月からではなく、半年程度後に適用となる見通しで、経過措置も設けられる。一定の病床数以下の病床では出来高算定の継続を認めるとしている。

●‌亜急性期入院医療管理料を廃止し、「地域包括ケア病棟入院料」など新設

地域包括ケアシステムを支える病棟を評価する項目として「地域包括ケア病棟入院料」と「地域包括ケア入院医療管理料」(表)が新設される。急性期後の患者や在宅で急性増悪した患者の受け入れや在宅復帰を支援する機能を担う。従来の亜急性期入院医療管理料は一定の経過措置期間を経て廃止する。

施設基準として、疾患別リハビリテーションまたはがん患者リハビリテーションの届出や看護職員・リハスタッフの人員配置などが求められることに加え、算定日数には60日程度の上限が設定される見通しで、在宅復帰支援に力点が置かれていることが分かる。同入院料は一般病棟と療養病棟での算定が可能で、病室単位の場合は同入院管理料を算定することになる。

●有床診は評価充実

有床診に対しては地域包括ケアの重要な担い手として手厚い評価を行う。在宅急変時の受け入れ、看取り、介護サービスや在宅医療の提供に加え、全身麻酔手術など複数の機能を持つ有床診の評価を充実する。医療従事者の確保が負担となっている現状を踏まえ、医療従事者や看護職員の配置について評価し、1~3と3段階になっている入院基本料は6段階となり、現行の1~3は4~6に移行する。看護補助者を配置した場合の加算も新設する。前回改定で包括化されていた「栄養管理実施加算」も復活する。

●在宅の「不適切事例」は減算

過去数回の改定に引き続き、在宅医療の評価も充実する。24時間対応などを要件とする機能強化型の訪問看護ステーションを評価する点数を新設するほか、在宅患者の緊急受け入れを行う「在宅療養後方支援病院」を評価する。機能強化型以外の在支診・在支病については、機能強化型と同等の実績がある場合には緊急往診と看取りの実績を「在宅療養実施加算」として評価する。一方、集合住宅に住む患者に対する在宅医療の「不適切事例」が指摘されていることを受け、「同一建物における、同一日の複数訪問時」の点数を設定し、大幅に適正化する。

このほか、400床未満の病院でも個別の点数項目が分かる明細書の無料発行が義務化される。2年間の猶予期間を設定した上で、レセコンの改修など「正当な理由」がある場合でも無料発行が義務付けられる。

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