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最新のリンパ浮腫の診断・治療と将来的な展望 【ICGリンパ管造影などによるリンパ画像診断を用いた早期診断と,スーパーマイクロサージャリー技術を駆使した早期低侵襲手術による根治的治療が望まれる】

No.4872 (2017年09月09日発行) P.56

成島三長 (三重大学医学部形成外科学教室教授)

山本 匠 (国立国際医療研究センター病院形成外科診療部長)

登録日: 2017-09-08

最終更新日: 2017-09-05

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  • リンパ浮腫の診断や治療はここ10年ほどで飛躍的に進歩し,形成外科分野でも大きな割合を占めるようになってきました。現時点でまだ不明な点も残されておりますが,それぞれの治療法の限界と適応が徐々に明らかになりつつあるように感じます。そこで,最新のリンパ浮腫の診断・治療と将来的な展望について,国立国際医療研究センター病院・山本 匠先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    成島三長 三重大学医学部形成外科学教室教授


    【回答】

    リンパ浮腫は“リンパ循環異常”により浮腫をきたす疾患で,通常は身体診察により診断され圧迫療法などの保存療法により治療されます。圧迫療法で浮腫がコントロールできているように見えても,実際にはリンパ循環は悪化し続けており,あるとき急に浮腫が増悪してコントロール不能となる例が多いです。したがって,リンパ浮腫診療においては,画像診断でリンパ循環を評価することがきわめて重要です。

    現在用いられている主なリンパ画像診断には,リンパシンチグラフィ,SPECT/CT,MRリンパ管造影,ICGリンパ管造影などがありますが,最も有用性が期待されているのがICGリンパ管造影です。

    ICGリンパ管造影はリアルタイムに被曝なくきわめて鮮明にリンパ流が観察できます。体表 2cmまでの浅リンパ流しか可視化できませんが,異常リンパ流の検出感度・特異度が高く間接的に深リンパ流も評価でき,原発性・二次性リンパ浮腫における特徴的所見が明らかになっています。リンパ循環に基づいた病態生理的重症度分類が開発され,リンパ浮腫の診断・重症度評価および予後予測に有用であることが報告されています。また,後述のリンパ外科治療のナビゲーションとしても有用です。

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