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無症候性鞍結節部髄膜腫の治療【将来,症候性となる可能性が高い。外科的介入も視野に入れる必要がある】

No.4869 (2017年08月19日発行) P.61

大賀 優 (東京都立大塚病院脳神経外科医長)

堀口健太郎 (千葉大学医学部脳神経外科)

登録日: 2017-08-18

最終更新日: 2021-01-06

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  • 現在無症候性ですが,将来症候性(視野視力障害)となる可能性の高い鞍結節部髄膜腫の治療法(手術か,放射線治療か,それでも経過観察か)・治療時期・手術であればアプローチ法(開頭か,経鼻か)決定の判断基準について,千葉大学・堀口健太郎先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    大賀 優 東京都立大塚病院脳神経外科医長


    【回答】

    「脳ドックのガイドライン 2014」では,無症候性髄膜腫が見つかった場合の対応として,内側型蝶形骨縁髄膜腫だけは,視力障害発症後の症状改善が困難な場合があるため予防的な摘出手術が勧められるとしています。その他の髄膜腫に関しては,発見された後に6カ月ごと2回,以後年1回のMRIによる経過観察を推奨しています。

    しかし鞍結節部髄膜腫に関しても,高度の視力障害が出てきた場合はその改善が困難となる場合が多く,将来症候性となる可能性が高い鞍結節部髄膜腫という限定であれば,十分なインフォームドコンセントを行った上で外科的介入も選択されると思います。治療方法としては,視神経・視交叉,内頸動脈との解剖学的な関係上,手術による摘出も難しい髄膜腫ですが,第一には手術が選択されると思われます。放射線治療に関しては,全身麻酔困難症例に対して選択されるか否かですが,放射線視神経障害(radiation-induced optic neuropathy:RION)の可能性も考慮し,経過観察にとどめるかを個々の症例で慎重に判断します。

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