貴院では就業規則を作成していますか?法的には,常時雇用する労働者の数が10人以上になると就業規則の作成義務が生じ,労働基準監督署への届け出をしなければいけません。常時雇用する労働者のカウントには,社会保険や雇用保険に加入しているかどうかは関係なく,パートタイマーも1人として数えます。ただし派遣社員については,派遣元の会社の社員としてカウントしますので除外します。10人未満では就業規則をつくって届け出る義務はありませんが,組織のリスク管理や労務トラブル防止のためには作成されることをお勧めします(第1章・第2章でもその理由を説明していますのでご参照下さい)。10人未満だからといって労働基準監督署は就業規則の受け取りを拒否するわけではありませんので,届け出ることも可能です。
また労働基準監督署に届け出をしなくても,社員に就業規則について周知させ,就業規則を見たいと思ったときに,いつでも見られる状態にしておけば,10人以上の組織の就業規則と同じように,就業規則としての効力が認められます。労働基準法でも,このような10人未満の会社の就業規則は,「就業規則に準ずるもの」(労働基準法第32条の2,第32条の3など)として,10人以上の会社の就業規則と同等に取り扱われます。就業規則を作成し職員に周知しておくことで,勤務態度不良者に対して懲戒処分など就業規則に基づいた対応が可能になります。また私傷病時の休職や復職にも明確な基準ができますので,無用なトラブルが防げます。その他の労働条件や服務規律も明確になりますので,10人未満の医院でも作成しておいたほうがよいでしょう。
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