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(20)前日の夕食後から腹痛がある72歳男性[特集:備えておくべき重篤疾患の診かた─見落としを防ぐには]

No.4718 (2014年09月27日発行) P.106

編集: 本村和久 (沖縄県立中部病院プライマリケア・総合内科副部長)

川尻宏昭 (高山市役所市民保健部(地域医療統括担当)参事 兼 高山市国保高根診療所所長)

登録日: 2016-09-01

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  • 1. 初期症状

    高血圧で近医にて治療中である72歳の男性。ADLは自立しており,農業に従事している。
    来院時の前日,夕食後,臍の部分を中心になんとなく鈍痛を感じるようになった。
    その晩はそのまま朝まで就寝したが,来院当日も,朝起きた時から腹痛を自覚していたが,朝食を少し摂取した後,軽度の吐き気を自覚した。また,朝にいつも排便があるが,その当日はなかった。なんとか,その後仕事(農業)に出掛けたが,腹痛と吐き気が続くため,昼近くに来院した。患者は,「いつもは出る便が出ないからお腹が痛いんだと思う」と言って来院している。

    2. 考えられる疾患

    比較的急に出現した腹痛の場合,いわゆる急性腹症として鑑別を行う(表1)。その場合,疾患名を記憶するのではなく,VINDICATE(表2)+痛みの部位=どこで何が起こっているのか?で考える。
    鑑別疾患の絞り込みには,その他の診断の手掛かりになる情報はないか考える。
    ①高血圧治療中の高齢男性 ⇒ 虚血性,血管性?
    ②比較的急に出現した腹部正中の鈍痛 ⇒ 痛みの主座となる解剖学的な臓器の位置は?
    ③吐き気 ⇒ 腸管?
    ④便秘 ⇒ これが原因?

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