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優生保護法下の不妊手術と中絶の補償を【日本弁護士連合会が要請】

No.4845 (2017年03月04日発行) P.13

登録日: 2017-02-28

最終更新日: 2017-02-28

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旧優生保護法(1948〜96年)下において優生思想に基づき実施された優生手術(不妊手術)・人工妊娠中絶に対して謝罪と補償を求める意見書を日本弁護士連合会が2月22日付で塩崎恭久厚生労働相に提出した。被害者は8万3963人に及ぶと指摘し、被害者の自己決定権(憲法13条)とすべての人に保障される自然権的な権利であるリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康・権利)を侵害したと主張している。

旧優生保護法は「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」との規定があり、同法に基づき「遺伝性精神病質」「遺伝性身体疾患」等を理由とする優生手術と人工妊娠中絶が実施された。優生手術は本人の同意によるものと「都道府県優生保護審査会」の審査によるものがあり、審査会で認められた場合は、「身体の拘束、麻酔薬施用または欺罔等の手段を用いることも許される場合がある」との事務次官通知も発出されていた。

意見書では、「子どもを産み育てるかどうかを自らの自由な意思によって決定することは幸福追求権としての自己決定権として保障される」と述べ、優生思想に基づく優生手術・中絶は自己決定権を侵害していると主張。本人の同意があっても、自由な意思決定が阻害される状況にあったと指摘した。

その上で、「国は被害者に対する謝罪、補償等の適切な措置を実施すべき」と要請。さらにその適切な実施のために優生思想に基づき実施された優生手術・人工妊娠中絶の実態調査を求めた。

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