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【他科への手紙】放射線科→脳神経外科・神経内科

No.4842 (2017年02月11日発行) P.55

藤間憲幸 (北海道大学病院放射線診断科)

登録日: 2017-02-10

最終更新日: 2021-01-06

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  • 脳神経外科や神経内科の先生方は、日常診療で脳のMRIを読影されることが多いかと思います。自施設の見慣れた画質の画像だけでなく、他院から紹介された画像を読影したり、自施設で改めて撮像した画像との比較検討を行ったりする機会も多いのではないでしょうか。

    読影頻度が高いものとしては拡散強調像、T2強調像、FLAIR像、脳MRAなどが挙げられますが、現在、国内のMR装置は少なくとも5社の大手メーカーが販売しています。装置の静磁場強度も、一昔前は1.5テスラが高磁場と言われておりましたが、現在は3テスラの高磁場装置が市中病院にまで普及しています。ここで注意が必要なのは、同一のT2強調像やFLAIR像であっても、メーカーや静磁場強度、設定パラメータの違いで画質が大幅に変化するということです。

    慢性脳虚血を疑わせるようなT2強調像、FLA IR像での高信号域がしばしば観察されますが、前述した条件の違いにより、高信号の描出度も変化します。撮像装置や条件の違いの影響により高信号が明瞭化して見えているだけなのに、虚血の進行であるという間違った判断がされる場面も多々あります。たとえば内包後脚から視床にかけての錐体路は正常でも、T2強調像やFLAIR像では淡い高信号に見えることが多くあります。この高信号の度合いに比較対象の画像同士で差が認められる場合、そもそもベースラインの時点で高信号の描出に差があるということになるため、その点を考慮して視覚的な補正を行うことが対策となります。

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