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重症低血糖を起こさずHbA1c 7%未満を達成できる治療薬アルゴリズム 【BMI値と腎機能障害の有無によりメトホルミン塩酸塩またはDPP-4阻害薬で治療開始】

No.4841 (2017年02月04日発行) P.58

植木浩二郎 (国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センター長)

古家大祐 (金沢医科大学糖尿病・内分泌内科学教授)

登録日: 2017-02-01

最終更新日: 2017-01-31

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  • 糖尿病患者の血糖改善には,生活習慣の修正を基盤とした薬物療法が有用ですが,わが国の糖尿病患者は高齢化の一途をたどり,むやみにインスリンも含めて多剤の経口血糖降下薬で治療を行うと,重症低血糖をまねきかねません。重症低血糖を起こさず,目標のHbA1c 7%未満を達成できる治療薬アルゴリズムを,特に経口血糖降下薬を中心にご教示下さい。国立国際医療研究センター・植木浩二郎先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    古家大祐 金沢医科大学糖尿病・内分泌内科学教授


    【回答】

    現在,わが国の糖尿病患者の2/3を高齢者が占めるようになっており,その予後を考える上では,良好な血糖コントロールのみならず,認知症やフレイル,心血管イベントなどを増加させる低血糖を回避することも重要になります。そのような趣旨から2016年5月,日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会は,患者の年齢・認知機能・ADL・薬物療法によってHbA1cのターゲットを定めた「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c)」を発表しています。

    逆に言えば,ご質問のように低血糖を起こしにくく,血糖降下作用が期待できる治療法を選択すれば,非高齢者と同様にHbA1c 7%未満を目標とすることも可能です。現在,わが国では薬物療法に関する確定したアルゴリズムはありませんが,重症低血糖の発現率や合併症の抑制効果に関する,これまでの知見を勘案した私見を以下に記載します。

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