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働き方ビジョン検討会中間まとめに批判続出「医師需給分科会の議論再開を」―社会保障審議会医療部会

登録日: 2017-01-19

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  社会保障審議会医療部会(永井良三部会長)が18日に開かれ、厚生労働省が報告した「新たな医療のあり方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(渋谷健司座長)の中間取りまとめを巡り、批判的な意見が続出した。



ビジョン検討会は塩崎恭久厚労相の肝いりで昨年10月に発足したが、議論は非公開で行われており、医療団体からそのあり方に批判が集まっている。中間まとめでは、目指すべき3つのビジョンとして、①地域が主導して、医療・介護と生活を支える、②個人の能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方を実現する、③高い生産性と付加価値を生み出す―という方向性が盛り込まれた。

これを受け、邉見公雄委員(全国自治体病院協議会)は「これまで(医療従事者の需給に関する検討会の)医師需給分科会で議論されてきた内容の域を出ていない」と指摘。山崎學委員(日本精神科病院協会)は「今さらこんなこと言われなくても当然のことばかり。政策論だけで財源の裏づけがなければ問題は何も解決しない」と厳しく批判した。山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML)は「総論的で、偏在対策の具体的なイメージがまったく湧かない」として、ビジョン検討会の影響で議論が中断されている医師需給分科会について「中断する意味が何かあったのか。並行して動かすべき」と再開を求めた。

このほか、中川俊男委員(日本医師会)は「医師需給分科会の議論を総論的にぼやかした印象だが、ぼやかすことには危険もある」とし、解釈に幅がある中間まとめの書きぶりを問題視。10万人規模で実施中の医師の勤務実態や働き方の意向などに関するアンケート調査の結果を利用して、医師需給対策が医師偏在ではなく絶対数の不足解消という方向に議論が誘導されることがないよう牽制した。

■検討スケジュール「医療計画に間に合わない」

18日の医療部会では、検討スケジュールにも批判が相次いだ。今後の流れは、今年度内に意見の取りまとめを行うビジョン検討会と、その取りまとめに基づき来年度前半にかけて検討を行う医師需給分科会における議論の双方を踏まえ、医療計画に盛り込む「医療従事者の確保に関する記載事項」の見直しが行われる。3月には次期医療計画の作成指針が都道府県に示されることから、西澤寛俊委員(全日本病院協会)は、「医療計画の作成指針には、都道府県が一番困っている人の手当ての問題をしっかり書き込むことが不可欠」と指摘。早急に医師需給分科会の議論を再開し、作成指針に間に合うタイミングで意見を取りまとめるべきと強調した。

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