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骨盤骨折に対する骨盤パッキングのガーゼ除去または交換のタイミングは? 【6~8時間は理にかなっているが,患者の状態によって変更していく】

No.4838 (2017年01月14日発行) P.57

井口浩一 (埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター講師)

鈴木 卓 (帝京大学医学部附属病院救急科外傷センター准教授)

登録日: 2017-01-12

最終更新日: 2018-11-27

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  • 出血性ショックを伴う骨盤骨折に対する骨盤パッキングは,24~48時間でガーゼを除去または交換することが勧められています。しかし,ガーゼ除去後の局所の再灌流障害が危惧されます。6~8時間でガーゼ除去または交換がよいと思いますが,いかがでしょうか。帝京大学附属病院外傷センター・鈴木 卓先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    井口浩一 埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター講師


    【回答】

    骨盤骨折に対するガーゼパッキングは,もともと肝損傷におけるdamage control sur­geryから発展してきたものです。基本原理は,圧迫効果による止血と異物接触による血栓不動化・血栓形成促進効果からなっています。骨盤は後腹膜腔という半閉鎖空間に存在するため,小骨盤腔の奥のほうからガーゼを詰め込むと,骨盤周囲の圧上昇が認められます。私たちは,骨盤ガーゼパッキングを開始した初期に,外腸骨静脈にシースを入れて先端圧を測定していたのですが,ある程度きつめにガーゼを詰め込むと,圧が30mmHgを超えてしまうことがわかりました。つまり,abdominal compartment syndromeの危険水位を超えてしまうわけです。その場合,後腹膜腔にある腎血流の低下なども危惧されますし,ガーゼに直接接触している骨盤腔の組織には,部分的に,さらに過剰な圧がかかっていることが予想されます。

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