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SJS/TENの治療 【原因薬の中止と,補液・栄養管理,感染防止,粘膜部の局所処置が重要】

No.4793 (2016年03月05日発行) P.57

渡辺秀晃 (昭和大学皮膚科准教授)

登録日: 2016-03-05

最終更新日: 2016-10-26

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皮膚粘膜眼症候群(SJS)と中毒性表皮壊死症(Lyell症候群,TEN)は同一のスペクトラム上にある疾患で,SJSはびらん・水疱が体表面積の10%未満,TENでは10%以上と定義される(文献1,2)。
SJSは失明などの後遺症を残す率が11%,死亡率3%,またTENは後遺症が31%,死亡率19%と高率で(文献1),SJS/TENと診断した場合は直ちに入院の上,最適な治療を行う必要がある(文献2)。
治療の第一は原因薬の中止である。加えて,補液・栄養管理,感染防止,粘膜部の局所処置が重要である。特に重篤な後遺症を残しやすい眼病変の管理を適切に行うことが重要となる(文献2,3)。2009年のSJS/TENの治療指針(文献3)では,薬物療法として,発症早期ではステロイドの全身投与をほかの合併症に留意して行うことが推奨されている。血漿交換療法も効果的とされ,ステロイド療法で症状の進行がくいとめられない重症例,もしくは重症感染症などステロイドの使用が困難な場合に施行される(文献3)。
2014年にヒト免疫グロブリン製剤大量静注療法(IVIG)が保険適用となった。IVIGはヒト免疫グロブリン製剤400mg/kg/日を5日間連続投与, 原則1コースのみ施行する。有効な場合には投与終了前から回復傾向がみられる。IgA欠損症や重篤な脳・心血管障害,肝・腎機能障害, 血小板減少を有する患者,血栓・塞栓症の危険性が高い患者では施行しないこと,また,血漿交換療法の直前には施行しないことを覚えておく必要がある。

【文献】


1) 北見 周, 他:日皮会誌. 2011;121(12):2467-82.
2) 渡辺秀晃:日臨. 2012;70(増6):492-7.
3) 相原道子, 他:日皮会誌. 2009;119(11):2157-63.

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