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日本におけるパイロットソースと医学的採用基準 【身体的要件でのハードルは,アレルギー,脳波,眼科領域】

No.4792 (2016年02月27日発行) P.53

五味秀穂 (航空医学研究センター専務理事・所長)

登録日: 2016-02-27

最終更新日: 2016-10-26

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日本において民間航空パイロットになるための道筋として,(1)航空会社の自社養成(一般大学卒業),(2)航空大学校等操縦士養成機関から,(3)航空自衛隊からの転入,(4)外国人パイロット,の4つの道がある。
パイロットは操縦する際,2つの免許証が必要である。1つは技術的な「技能証明」,もう1つは身体検査基準を満たしているという「航空身体検査証明」である。このため,上記の道筋いずれにおいても身体検査が実施され,上記(2)は入学時に(さらに入社時も),それ以外は入社時となる。パイロットに対しては詳細な航空身体検査基準(文献1)が決められており,それをパスしないと乗務できないため,この基準をもとに採用基準が決められている。この中で大きなハードルになっているのが,(1)アレルギー,(2)脳波,(3)眼科領域,である。
(1)現在,若者の多くはアレルギーを何かしら持っていると言っても過言ではないが,特にアレルギー性鼻炎は航空性中耳炎を頻回に引き起こす可能性があり,さらに薬剤の使用にも制限があるため,アレルギーの有無は影響してくる。
(2)航空身体検査において脳波が必要(初回)である。これで不合格となる例も相当数みられる。
(3)眼科領域においては視力のみならず,眼位・両眼視機能など多数の条件があり,これをクリアしなくてはならない。
パイロットになるためには知識や適性のみならず,身体的要件をクリアすることが必要となる。これも安全のためではあるが……。

【文献】


1) 航空法施行規則(別表第4)身体検査基準.

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