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近視性牽引黄斑症(MTM)  【MTMは黄斑円孔網膜剝離の前駆病変で,OCTによる広範囲の検索が,病態把握や外科治療を考える際にも必要】

No.4792 (2016年02月27日発行) P.52

島田典明 (東京医科歯科大学眼科)

大野京子 (東京医科歯科大学眼科教授)

登録日: 2016-02-27

最終更新日: 2016-10-26

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光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の登場により,網膜の微細な構造変化をとらえられるようになり,強度近視眼では網膜の牽引により網膜分離や網膜剥離といった後極部の多彩な変化が認められることが報告された。近視性牽引黄斑症(myopic traction maculopathy:MTM)は,強度近視眼での牽引に伴ったこれらの黄斑部網膜障害を示す総称である。
MTMの診断は病的近視眼底に加えて,(1)黄斑前膜,(2)硝子体黄斑牽引,(3)網膜の肥厚(中心窩厚>200μm),(4)網膜分離,(5)牽引性網膜剥離,(6)内層分層黄斑円孔,の6つのうち,いずれかを認めることによる(文献1)。MTMは黄斑円孔網膜剥離の前駆病変として位置づけられる。
強度近視におけるMTMの発症要因としては,後部強膜ぶどう腫と後部硝子体皮質~内境界膜,網膜血管が重要であり,OCTを用いた広い範囲の検索がその病態把握や,外科治療を考える際にも必要である。近年のOCTを用いた検討により,適切な時期に,適切な治療を行うことで,黄斑円孔や黄斑円孔網膜剥離への進展の予防が,ある程度までは可能になってきている。

【文献】


1) Panozzo G, et al:Arch Ophthalmol. 2004;122(10):1455-60.

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