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様変わりした親子鑑定  【DNA検査によって識別力が増し,親子以外の血縁鑑定も可能に】

No.4790 (2016年02月13日発行) P.54

玉木敬二 (京都大学法医学教授)

登録日: 2016-02-13

最終更新日: 2016-10-26

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2015年暮れ,女性の180日の再婚禁止期間が違憲とされ話題となったが,親子鑑定も社会の変化に応じて様変わりしてきた。1980年代までは親子鑑定はほとんど父子鑑定であり,男性・母子3人の血液を採取して多数の血液型を検査し,子の父由来の型を,問題となる男性が共有しているかどうかで判断していたが,真の父でなくても否定されない場合もあったという。しかし,85年のDNA指紋法(文献1)の考案以来,親子鑑定は血液型からDNA検査となり,最近ではインターネットで依頼を受け付ける民間DNA鑑定会社がほとんどとなっている。
試料は口腔内の頬を擦って細胞を濾紙などに採取するだけで,対象者が2人だけでも可能である。DNA検査は遺伝子ではないマイクロサテライト(STR)と呼ばれる縦列反復配列をPCR増幅して,その繰り返し数(リピート数)をDNAシークエンサーで判定する。たとえば,現在,わが国の法医鑑識で用いられている15のSTRの型を一度に判定する方法では,99.99998%(事前確率50%)といった非常に高い父権肯定確率が得られるし,他人であればまず完全に否定される(文献2)。
最近では性染色体やミトコンドリアなどの領域のDNAマーカーも利用され,親子だけでなく,兄弟,祖父─孫などの血縁鑑定も少しずつ可能となっているが,いとこなど血縁がさらに薄い関係についてはまだ十分な判断はできない。

【文献】


1) Jeffreys AJ, et al:Nature. 1985;314(6006):67-73.
2) Tamaki K, et al:Transfusion. 2009;49(3):578-84.

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