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心房中隔欠損症(ASD)に対する低侵襲カテーテル治療の現状 【ASDは開胸せずに根治可能な疾患に】

No.4790 (2016年02月13日発行) P.51

金澤英明 (慶應義塾大学循環器内科特任講師)

登録日: 2016-02-13

最終更新日: 2016-10-26

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心房中隔欠損症(ASD)は,出生1000人に1人の割合で発生し,成人先天性心疾患の中で最も頻度が高い疾患である。小児期に検診などで診断される例が一般的とされるが,約半数近い症例は,成人になって初めて診断・治療される疾患であることも事実である。
欠損孔閉鎖のための根治術としては,これまで開胸手術による修復術のみであったが,わが国では2005年より小児循環器施設を中心に,閉鎖栓(AMPLAZERTM Septal Occluder)による経カテーテル的閉鎖術が導入され,2011年から循環器内科医による施行も可能となり,症例数は年々増加の一途をたどっている。これまで国内では6000例以上の施行実績(世界的には25万例以上)があるが,死亡率0%という良好な成績を得ており,その安全性も含め,ASD治療の第一選択肢として位置づけられてきている。
カテーテル治療の適応としては,解剖学的に適する二次孔型ASD(欠損孔38mm未満)で,Qp/Qs>1.5が一般的な基準とされているが,Qp/Qsが1.5未満でも右心系の容量負荷を有する症例,奇異性脳塞栓の既往,心房性不整脈を合併する症例も適応となる。
ASD症例の約80%はカテーテル治療が可能とされているが,解剖学的理由などによりカテーテル治療が行えない場合は,心臓外科医による小切開低侵襲手術(MICS)も進歩している。いずれの治療法も安全かつ入院期間の短い低侵襲な治療であり,患者の受ける恩恵は大きい。

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