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ループス腎炎の治療に適応追加薬:MMF 【投与中は消化器症状を含めたCMV感染症に注意】

No.4780 (2015年12月05日発行) P.53

永井 恵 (筑波大学腎臓内科)

山縣邦弘 (筑波大学腎臓内科教授)

登録日: 2015-12-05

最終更新日: 2016-10-26

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ループス腎炎は,全身性エリテマトーデスの主要かつ重要な標的臓器である。
わが国でループス腎炎に対して保険適用上,使用できる免疫抑制薬としてはシクロホスファミド(CY),ミゾリビン(MZB),タクロリムス(TAC),アザチオプリン(AZP)があり,ネフローゼ症候群の場合はシクロスポリン(CsA)の使用が可能である。海外での臨床試験をもとに,特にCYの寛解導入率の高さが示されており,各国のガイドラインが形成されてきた。一方,CYの副作用である妊孕性低下の問題から,若年女性に好発するループス腎炎の治療法としては,必ずしも望ましいものではなく,治療効果および副作用の観点から,より優れた免疫抑制薬が模索されてきた。
2000年以降は寛解導入に関して,2010年以降は維持療法に対する有効性や安全性に関して,ミコフェノール酸モフェチル(MMF)の試験結果がある。
ループス腎炎の治療にMMFが登場してから10年以上が経過し,いずれの現行海外ガイドラインにもMMFが免疫抑制薬の第一選択として記載されている(ACR,KDIGO,EULAR,ALMN)。特に,ACRおよびEULARではMMF以外の免疫抑制薬の第一選択としての記載が削除されている。
わが国では,海外の治療ガイドライン策定から数年を経て,2015年にMMFがループス腎炎の治療適応となり,ループス腎炎の免疫抑制薬として広く普及すると予想される。一方,MMFではかねてよりサイトメガロウイルス(CMV)感染症の罹患増が指摘されており,治療中は消化器症状を含めたCMV感染症に十分な注意が必要である。

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