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孤独死の実態と課題

No.4777 (2015年11月14日発行) P.54

鈴木秀人 (東京都監察医務院)

福永龍繁 (東京都監察医務院院長)

登録日: 2015-11-14

最終更新日: 2016-10-26

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独居者が自宅で死亡し死後発見される孤独死は,福祉保健上の社会問題として認識され,多くの地方自治体や住民組織などが孤独死防止を目的とした施策を講じている。しかし,死者の世帯の状況について死亡届・死亡診断書に記載する欄がないため,人口動態統計を用いても孤独死の実態を調査することは困難である(文献1)。
東京都区部におけるすべての異状死を検案・解剖している東京都監察医務院では,日々の業務で孤独死例を担当しており,東京都区部の孤独死の全数調査が可能である。これまでの調査において,(1)孤独死発生率は男性が女性に比べて高いこと,(2)孤独死発生率は男女ともに年齢が上がるとともに上昇するが,発生率の上昇は女性(60歳代後半以降)と比較して男性(50歳代前半以降)で若いこと,(3)男性孤独死は,城東地域で最も発生しやすく,ついで城北・城南・副都心地域で発生しやすい傾向にあること,(4)男性孤独死発生率は,完全失業率が高い地域,生活保護率の高い地域,平均所得の低い地域に高いこと,を明らかとしてきた(文献2)。
一方,死体検案から得られるデータを用いた調査には限界がある。孤独死した人の生前の生活背景の詳細な調査や,孤独死の背景因子のひとつとして考えられる単身世帯と,複数世帯における健康格差に関する調査は今後の検討課題であり,法医学分野以外からのアプローチも必要である。

【文献】


1) 金涌佳雅, 他:厚生の指標. 2013;60(7):1-7.
2) 東京都監察医務院:東京都23区における孤独死の実態. 東京都監察医務院, 2010.

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