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多様化する緑内障の薬物治療

No.4756 (2015年06月20日発行) P.53

石原理恵子 (岡山大学眼科)

登録日: 2015-06-20

最終更新日: 2016-10-26

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緑内障治療薬は近年急速に増加しており,従来からのプロスタグランジン関連薬,交感神経β(αβ)遮断薬,炭酸脱水素酵素阻害薬,副交感神経刺激薬,交感神経刺激薬,交感神経α1遮断薬に加えて,2012年1月からは交感神経α2刺激薬,2014年12月からはRhoキナーゼ(Rho-associated,coiled-coil-containing protein kinase:ROCK)阻害薬,と計8系統の薬物が日本でも使用可能となった。このことから,従来よりも薬物治療の選択肢が広がり,従来手術が行われていた症例でも,薬物治療で管理可能となる事例も出てきている。
また,この8系統以外にも2010年にチモロールとラタノプロストの配合剤であるザラカムR,チモロールとトラボプロストの配合剤であるデュオトラバR,チモロールとドルゾラミドの配合剤であるコソプトR,そして2014年11月にはチモロールとタフルプロストの配合剤であるタプコムRと計4種の配合剤が上市されている。
これら配合剤により,点眼薬の種類が減り患者が点眼について把握しやすくなることに加えて,点眼間隔に関する配慮が不要となって患者の負担が軽減することで,アドヒアランスの向上が期待できる。また,複数の単剤を点眼する場合と比較して,防腐剤による角膜上皮障害のリスクも軽減できるという利点もある。
これら多様化した点眼薬の眼圧下降機序,効果,副作用,禁忌などを理解した上で,病状(眼圧,視野)や患者背景(年齢,職業,性格,家族構成)をふまえて,それぞれの患者に適した薬物治療を行っていくことが,今後ますます重要になってくると思われる。

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