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加齢黄斑変性に対する抗VEGF薬の投与方法

No.4749 (2015年05月02日発行) P.53

細川海音 (岡山大学眼科)

登録日: 2015-05-02

最終更新日: 2016-10-26

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加齢黄斑変性(AMD)は先進国における中途失明の主な原因疾患のひとつであり,近年わが国でも急激に増加している。現在,AMDの治療の中心は抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法であり,抗VEGF薬を毎月硝子体に投与することで視力を改善する効果があると報告されている。
しかし実際には,抗VEGF薬を毎月投与することは,患者,医師ともに負担が大きく,医療経済的問題もある。そこで,これまではPRN(pro re nata:必要に応じて)投与と呼ばれる投与法,すなわち,再発を認めてから再投与を行う方法が選択されることが多かった。しかし近年,長期経過において,PRN投与では視力が低下する症例がみられることが指摘されており,最近ではtreat and extendと呼ばれる投与方法が注目されている(文献1)。
treat and extendによる投与法は,再発の有無によって投与間隔を延長・短縮する投与方法である。具体的には,再発を認めない限り約2週間ずつ投与および診察の間隔を延長し,再発を認めた場合は約2週間ずつ短縮する。この方法によって再発しない最大の投与間隔を設定することが可能となる。しかし一方で,患者によっては過剰投与となる可能性が指摘されており,今後treat and extendの適応について,さらなる検討が必要である。

【文献】


1) Berg K, et al:Ophthalmology. 2015;122(1):146-52.

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