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分子標的治療薬による頭頸部癌の治療:最近の進歩

No.4742 (2015年03月14日発行) P.47

畠山博充 (北海道大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科)

登録日: 2015-03-14

最終更新日: 2016-10-26

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分子生物学の発展に伴って,がん治療でも増殖因子や表面マーカーをターゲットとした多数の分子標的治療薬が登場してきている。頭頸部扁平上皮癌は,かねてより上皮成長因子受容体(EGFR)シグナル伝達が増殖に強く関わっていること,EGFRの高発現が予後不良因子と相関することがわかっていた。
セツキシマブはEGFRのモノクローナル抗体で,EGFRと結合後リガンドとの結合を阻害し,増殖シグナル伝達を抑制する。局所進行喉頭・下咽頭癌におけるphase 3試験でも,放射線単独治療に比べてセツキシマブ併用療法は局所制御率,喉頭温存率に優れていることが示され,5年生存率で10%以上の上乗せ効果を示した。さらに,切除不能および再発頭頸部癌に対する従来のプラチナ製剤と5-FUによる化学療法でも,セツキシマブの上乗せ効果があることが示された。わが国でも2013年にセツキシマブの頭頸部癌での使用が認可され,各主要施設で放射線治療およびプラチナ系化学療法との併用薬剤として使用されている。
これまでの主要薬剤であるプラチナ,タキサン,フルオロウラシル系薬剤では骨髄抑制,腎障害などの重篤な副作用があった。セツキシマブの副作用は主に皮膚・粘膜障害で広い適応が期待できる。しかし単剤投与での効果は限定的であり,筆者らの検討でも症例ごとの感受性が異なり,奏効例でも耐性化が生じることがわかってきている。現在も多数の分子標的治療薬が開発され,その臨床試験が行われている。分子生物学の頭頸部癌の治療へのさらなる寄与を期待している。

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