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網羅的遺伝子解析による新規膵腫瘍原因遺伝子の解明

No.4734 (2015年01月17日発行) P.55

高野伸一 (山梨大学第一内科)

榎本信幸 (山梨大学第一内科教授)

登録日: 2015-01-17

最終更新日: 2016-10-26

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近年,発達が目覚ましい次世代シークエンサーの登場により,様々な疾患の網羅的遺伝子解析が行われ,これまで知られていなかった新規原因遺伝子が次々と同定されている。胆膵の領域では膵腫瘍で多くの報告がなされている。
膵癌においてはKRAS, TP53, CDKN2A, SMAD4の変異・欠失が知られていたが,Exome解析から新たにMLL3, TTNなどが同定された(文献1,2)。同時に,これまで知られていた遺伝子変化がやはり主要な遺伝子変化であることも確認された。膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)においても同様の解析によりGNAS変異が新たに同定され(文献3),腫瘍組織そのものからのみでなく,嚢胞液・膵液・十二指腸液由来DNAからも検出できることが報告された。臨床的に得やすい検体からも遺伝子解析が可能であり,たとえば術前の臨床への応用を念頭に置いた遺伝子解析研究が進められている。
膵神経内分泌腫瘍(PNET)ではDAXX/ATRXが新たな遺伝子変異として同定された。また,近年mTOR阻害薬の有効性が報告されているが,それに関連する遺伝子の変異も報告された(文献4)。
今後は得られた遺伝子変異の臨床的意義の解明や,その変異を利用した新しい診断法・治療法の開発が課題と思われる。次世代シークエンサーが身近になった現在,急速な研究の発展が期待されるところである。

【文献】


1) Biankin AV, et al:Nature. 2012;491(7424):399 -405.
2) Jones S, et al:Science. 2008;321(5897):1801-6.
3) Wu J, et al:Proc Natl Acad Sci USA. 2011;108 (52):21188-93.
4) Jiao Y, et al:Science. 2011;331(6021):1199-203.

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