株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

低炭水化物食の是非

No.4729 (2014年12月13日発行) P.43

福井道明 (京都府立医科大学内分泌・代謝内科准教授)

登録日: 2014-12-13

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

糖尿病の食事療法においては,生活習慣への介入による肥満の是正を重要視し,そのために総エネルギー摂取量を調整し,合併症に対する配慮の上で三大栄養素のバランスを図ることが重要である。日本糖尿病学会は,炭水化物は指示エネルギー量の50%以上60%を超えない範囲とし,蛋白質は標準体重1kg当たり1.0~1.2g,残りを脂質で摂取することを推奨している(文献1)。
炭水化物制限食は現時点では根拠が不足している。炭水化物の摂取量を減らす低炭水化物食(糖質制限食)は,欧米での研究では短期的には減量や血糖コントロールの改善につながるとして,減量や生活習慣病の食事療法の1つとして注目されている(文献2)。しかし,効果や安全性については賛否がわかれている。総エネルギー摂取量を制限せずに,炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは,長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点について,これを担保するエビデンスが不足している。
低炭水化物食の対象は肥満,過体重症例である。低炭水化物食は継続率が低い上に死亡率を上昇させるとのエビデンスがあるため,中・長期の実施は勧められない。また,高蛋白質になることにより,腎症2期以降の症例には勧められない。さらに,脂質摂取過多による高LDL-C血症をきたす可能性がある。低炭水化物食は動脈硬化・腎障害・肝障害(糖新生が低下するため低血糖を起こしやすい)・膵疾患(脂質が増えるため膵炎を起こしやすい)を有する症例では特に注意が必要である。

【文献】


1) 日本糖尿病学会, 編:科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013. 南江堂, 2013.
2) Evert AB, et al:Diabetes Care. 2013;36(11): 3821-42.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top