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脳腫瘍の画像診断

No.4724 (2014年11月08日発行) P.46

平井俊範 (熊本大学放射線診断学准教授)

登録日: 2014-11-08

最終更新日: 2021-01-06

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脳腫瘍に対する画像診断はMRIが第一選択である。CTは石灰化,急性期出血,骨の情報においては有利であるが,それ以外の情報はおおむねMRIが優れている。脳腫瘍の診断にMRIが優れる理由は,脳腫瘍の正確な局在診断に有利であることと,腫瘍の細胞密度,血管床や代謝などに関する機能情報が得られることによる。その実際のMRI撮像は通常撮像法と先進的撮像法にわけられる(文献1)。
通常撮像法は,二次元のT1強調像,T2強調像,FLAIR(fluid-attenuated inversion recovery)像,および造影T1強調像が撮像される。また,三次元の撮像は小さな病変の評価や周囲脳構造との関係評価を含め,局在診断に有利である。造影MRIは病変の部位・性状の把握,悪性度診断,鑑別診断に重要であり,生検部位や手術の切除範囲の決定や放射線治療の計画に必要である。
先進的撮像法には,拡散強調像,灌流画像,MRスペクトロスコピー(MRS),拡散テンソルトラクトグラフィ,functional MRIなどがある。これらのうち前3者は一般に腫瘍の質的診断に用いられ,拡散強調像は腫瘍の細胞密度,灌流画像は腫瘍の血管床,MRSは腫瘍の代謝の情報を提供する。一方,後2者は主に手術支援のために用いられ,拡散テンソルトラクトグラフィは重要な神経路,functional MRIは脳の機能局在を観察できる。また,脳腫瘍のMRI診断においては通常撮像法に先進的撮像法を組み合わせることで診断能の向上が期待される(文献2)。

【文献】


1) 日本医学放射線学会・日本放射線科専門医会, 編:画像診断ガイドライン 2013年版. 金原出版, 2013, p50-2.
2) Al-Okaili RN, et al:Radiology. 2007;243(2): 539-50.

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