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網膜光凝固装置の進歩

No.4723 (2014年11月01日発行) P.52

有田量一 (九州大学眼科)

登録日: 2014-11-01

最終更新日: 2016-10-26

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網膜光凝固は主に糖尿病網膜症や網膜裂孔に対して行われ,眼科領域において必要不可欠な治療であるが,時として光凝固に伴う疼痛によって治療継続が困難となることがある。糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固は病状に応じて1000発を超えるレーザー照射が必要であるが,従来の光凝固装置では1発ずつの照射しかできないため,光凝固によって強い疼痛を伴っていた。
近年,1回で複数発の照射が可能となるパターンスキャニングレーザー光凝固装置が開発され,光凝固に要する時間の短縮と疼痛を軽減した上で,従来のレーザーと同等の治療効果を得ることが可能となった。豊富な照射パターンが選択でき,症例によって形状の異なる網膜裂孔などの治療にも有用である。
網膜光凝固治療は一方で網膜を熱凝固・瘢痕化させる破壊的治療でもあり,網膜感度低下や色覚異常,周辺視野狭窄を生じさせてしまうことがある(文献1)。パターンスキャニングレーザー光凝固装置は,短時間高出力で網膜光凝固を行うことによって網膜内層や脈絡膜への侵襲が及ぶ範囲が少なくなり,瘢痕拡大を減少させることが可能となった。
パターンスキャニングレーザー光凝固装置の登場によって,治療効果を維持しながら照射回数や疼痛,組織傷害を抑えることが可能となり,術者と患者双方の治療における負担が軽減されるようになった。

【文献】


1) Fong DS, et al:Retina. 2007;27(7):816-24.

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