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パーキンソン病の診断・治療の最新動向

No.4720 (2014年10月11日発行) P.52

高橋哲也 (広島大学脳神経内科診療准教授)

松本昌泰 (広島大学脳神経内科教授)

登録日: 2014-10-11

最終更新日: 2016-10-26

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パーキンソン病(PD)の検査としては,従来はMIBG心筋シンチグラフィのみであったが,123I-イオフルパンをリガンドとするSPECT検査(ダットスキャンR)が保険適用となった。中脳黒質から線条体に投射する神経の終末を可視化できるようになり,診断精度がさらに向上するものと期待される。事実,PDと臨床的に診断された症例の5~20%が本検査では陰性であり,これらの中には本態性振戦やジストニアの症例が含まれていると考えられている(文献1)。
一方,治療の面では,進行期におけるウェアリングオフやジスキネジアなどの運動合併症が問題となっている。これを回避する上でより生理的,すなわち持続的なドパミン受容体の刺激が重要であることから,近年,ドパミンアゴニストの徐放化製剤が導入されている。また,2013年にロチゴチンがドパミンアゴニストでは初めてとなる貼付薬として使用可能となった。本剤は経皮的な安定した薬剤吸収が特徴の1つである。
一方,同じく2013年に承認されたアデノシンA2A受容体拮抗薬イストラデフィリンは,大脳基底核間接路に作用してウェアリングオフを改善する。
米国では現在37の新薬が開発段階にあると報告されており(文献2),今後さらにPD治療の選択肢が増えるものと予想される。

【文献】


1) 日本核医学会・日本脳神経核医学研究会, 編:イオフルパン診療ガイドライン. 第1版. 2014.
2) [http://www.phrma.org/parkinsons-disease- 2014]

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