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重症心身障害児の誤嚥,GERD対策

No.4708 (2014年07月19日発行) P.60

新井真理 (東京大学小児外科講師)

岩中 督 (東京大学小児外科教授)

登録日: 2014-07-19

最終更新日: 2016-10-26

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重症心身障害児は神経学的な問題を中心に様々な問題点を抱えている。彼らのQOLを少しでも良好なものにするために,小児外科として貢献できることを以下に述べる。
嚥下障害などを含む咽頭・喉頭機能低下により,誤嚥性肺炎を繰り返し肺機能が低下していくことが多い。また経口摂取が徐々に困難となり,経鼻胃管などによる経腸栄養が必要になる。側彎が進行すると食道と胃の位置関係や形が変形し,胃食道逆流(GERD)から逆流性食道炎を発症したり,経鼻胃管の挿入が困難になったりする。
気道に対しては気管切開もしくは喉頭気管分離を行う。明らかに誤嚥がひどく,肺機能が低下しているような場合には初めから喉頭気管分離がよいと考えるが,どちらを選択するかは児の状態と介護者の考え方次第である。喉頭気管分離術には分離した中枢側断端を食道に吻合する方法と,吻合せず閉鎖する方法がある。最も重篤な合併症である気管動脈瘻を予防するために,様々な術式の工夫がなされている。
経鼻胃管挿入困難やGERDに対しては,胃瘻造設術や噴門形成術を考慮する。上部消化管造影検査,24時間pHモニターなどの精査を行い噴門形成術の適応を決定している。胃瘻造設術はPEGなど低侵襲な方法があるが,側彎が高度で胃が肋骨弓内に入っているような場合には安全に胃瘻を作成することはできず,以前は開腹手術による胃瘻造設術を行っていた。また噴門形成術も大きく開腹するかなり侵襲の大きい手術であったが,最近では腹腔鏡手術が適応され,噴門形成術から胃瘻造設術まで低侵襲で行えるようになったため,手術へのハードルが低くなってきている。

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