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腸重積症[私の治療]

No.5131 (2022年08月27日発行) P.44

木下義晶 (新潟大学大学院医歯学総合研究科小児外科学分野教授)

登録日: 2022-08-28

最終更新日: 2022-08-23

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  • 腸管が肛門側の腸管に引き込まれ,腸閉塞をきたし,血流障害を伴い,絞扼性イレウスをきたす。器質的病変を成因とするものと,それ以外の特発性のものとがある。重積の部位により回腸結腸型,回腸回腸結腸型,小腸小腸型,結腸結腸型などにわけられるが,回腸結腸型が最も多い。発生頻度は1歳未満の乳児が半数以上を占め,3カ月未満,6歳以上は少ない。男女比は約2:1である。症状としては血便,嘔吐,腹痛(不機嫌)を三主徴とする。血便はイチゴジャム様と形容される粘血便が特徴的であり,腹痛は間欠的である。また,ロタウイルスワクチンの副反応として腸重積が知られており,ワクチン初回接種を腸重積の好発時期(月齢3カ月以降)より早く済ませることの重要性が指摘されている。

    ▶診断のポイント

    腹部触診にて右上腹部のソーセージ様腫瘤の触知や,右下腹部が空虚であるDance徴候を認める。腹部単純X線写真では腫瘤状陰影欠損を認めることがある。また,遊離ガス像やニボーの有無についても確認が必要である。腹部超音波検査にて,重積腸管が横断像でtarget sign,縦断像でpseudokidney signとして描出される。超音波検査にて診断が困難なときには,注腸造影検査を行うことで診断が可能な場合があり,高圧浣腸として治療へ移行できる利点もある。所見としては,特徴的なカニ爪様の陰影欠損,coil spring signで診断できる。

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