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ヒルシュスプルング病(先天性巨大結腸症)[私の治療]

No.5139 (2022年10月22日発行) P.39

松藤 凡 (聖路加国際病院小児外科)

登録日: 2022-10-20

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  • ヒルシュスプルング病は,先天的な遠位側腸管の無神経節細胞症に起因する機能的腸閉塞である。病変部は直腸から口側に連続し,その広がりにより,直腸・S状結腸型,S状結腸より口側結腸に及ぶ長域型,全結腸型,小腸に及ぶ広範囲型に分類される。直腸・S状結腸型が約80%を占める。無神経節腸管の蠕動障害と内肛門括約筋無弛緩症により,胎便排泄遅延,腹部膨満,胆汁性嘔吐,強度の便秘をきたす。

    ▶診断のポイント

    【臨床症状】

    胎便排泄遅延,腹部膨満,胆汁性嘔吐,便秘で発症する。

    【画像検査】

    腹部単純X線写真:腸管拡張像を認める。骨盤腔には,腸管ガス像を認めない。

    注腸造影:直腸から連続する狭小腸管とその口側の拡張した腸管を認める。腸管は狭小部から口側に徐々に拡張しており(caliber change),移行部を形成する。出生後数日は,caliber changeがみられないことがある。注腸造影検査は病変の広がりを知るのに役立つ(図1)。
     

    【直腸肛門内圧検査】

    直腸内肛門括約筋抑制反射がみられない。

    【直腸粘膜生検】

    粘膜下層まで粘膜を切除する。アセチルコリンエステラーゼ(ACh-E)染色で,神経節細胞がみられないことと,神経線維の増生があれば診断は確定する(図2)。

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