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角膜移植の進歩

No.4707 (2014年07月12日発行) P.56

前野則子 (製鉄記念八幡病院眼科部長)

登録日: 2014-07-12

最終更新日: 2016-10-26

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全層角膜移植は,直径約7mmで病的な角膜を切除し,ドナー角膜を縫合する。合併症は拒絶反応,ステロイドや免疫抑制薬の副作用,感染などである。術中に角膜が直径7mm欠損する手術であり,非常に有害な合併症である駆逐性出血の発症率が高い(文献1)。
わが国で角膜移植が必要になる頻度の高い疾患は,白内障手術やアルゴンレーザー虹彩切開後の水疱性角膜症である。水疱性角膜症で障害されているのは角膜内皮であり,これに対する外科治療は全層角膜移植から角膜内皮移植(descemet’s stripping automated endothelial keratoplasty:DSAEK)へと,この10年で大きく変化した。
DSAEKでは角膜内皮と実質をマイクロケラトームで約150μmの厚さで層状に切離する。次に,移植片を直径8mm前後にトリミングして5mmの創より眼内に挿入し,空気を前房内に注入して接着させる。小切開化で惹起乱視が少なくなり視力回復が早く,外傷による創離開も起きにくい。また,移植片を縫合しないため,縫合糸感染や縫合糸のゆるみによる拒絶反応の発症がない。上皮細胞を持ち込まないため,それによる拒絶反応も起きにくい(文献2)。5mmの自己閉鎖創で駆逐性出血のリスクも軽減した。
問題点として,粘弾性物質を使用しないため前房保持が難しく移植片挿入時に内皮を損傷しやすい,手技習得の学習曲線の傾斜がきつい,無水晶体眼や虹彩異常眼には施行しにくい,などが挙げられる。

【文献】


1) Speaker MG, et al:Ophthalmology. 1991;98(2): 202-9.
2) Price MO, et al:Br J Ophthalmol. 2009;93(3): 391-5.

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