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好酸球性食道炎

No.4707 (2014年07月12日発行) P.52

木下芳一 (島根大学第二内科教授)

登録日: 2014-07-12

最終更新日: 2016-10-26

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日本でも胃食道逆流症(GERD)が増加し,人口の約20%にGERDがみられると報告されている。胸焼け,胸がつまった感じ,食べ物のつかえ感などはGERDの代表的な症状であるため,これらの症状があるとGERDを疑い,内視鏡検査で食道びらんがあれば逆流性食道炎,なければ非びらん性胃食道逆流症(NERD)と診断される。
最近,食物抗原を主なアレルゲンとして食道粘膜に起こる遅発性のアレルギー疾患として,好酸球性食道炎の増加が注目されている。数年前までわが国では1例ずつの症例報告が主であったが,最近では数例まとめた報告が多数みられるようになった。花粉症,喘息などのアレルギー疾患同様,急速に増加しているようである。
患者は何らかのアレルギー疾患を有する中年男性が多く,GERD例と区別が難しい症状を訴えるが,食べ物が胸につまると訴える頻度が高い。内視鏡検査で発見される最も特徴的な異常は食道の縦走溝と呼ばれる細く長い縦長の陥凹である。この陥凹を逆流性食道炎のびらんと見間違えないようにしないといけない。食道粘膜を生検すると上皮内に多数の好酸球の浸潤がみられるため診断がつく。ただし,好酸球の組織内分布は均一ではないため,数個採取することが必要である(文献1)。
治療はGERDと同様,プロトンポンプ阻害薬(PPI)を投与することで症状と異常所見が改善する例もあるが,喘息の吸入治療で用いられる局所作用型ステロイドが必要となることも多い。

【文献】


1) Kinoshita Y, et al:J Gastroenterol. 2013;48◆(3):333-9.

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