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横隔膜ヘルニア

No.4700 (2014年05月24日発行) P.58

新井真理 (東京大学小児外科講師)

岩中 督 (東京大学小児外科教授)

登録日: 2014-05-24

最終更新日: 2016-10-26

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横隔膜ヘルニアは,先天的に横隔膜の一部が欠損し,腹腔内臓器が胸腔内に脱出する疾患である。胎児期より胸腔内が腹腔内臓器に占拠され,肺が低形成に陥ることが予後を左右する。脱出時期が胎生の早期であるほど重篤な肺低形成となる。出生直後には発症せず成長した後に診断される軽症例から,手術に至ることなく死亡する重症例まである。
最近では出生前診断技術が発達し,胎児超音波検査やMRIで重症度まで診断し,それに応じた出産方法,出生後の管理を決めることが可能となった。出生直後は,呼吸循環状態が不安定であるためNICUで集中管理を行う。呼吸循環が落ち着いた後,開腹もしくは開胸で脱出した臓器を腹腔内に戻し,欠損孔の直接縫合もしくは,人工布(パッチ)を用いた根治術を行う。
近年,小児領域でも内視鏡手術の適応疾患が広がり,全身状態が安定している横隔膜ヘルニア症例に対して,胸腔鏡もしくは腹腔鏡手術が行われるようになった。胸腔鏡手術(文献1)では側臥位とし,5mmと3mmトロッカーを用いて行う。炭酸ガスによる陽圧気胸で脱出臓器が腹腔内に戻りやすくなり,その状態を保ちつつ横隔膜の縫合を行うことができる。腹腔鏡手術(文献2)の場合には戻した臓器が妨げになる場合もあるが,腹腔内のほかの疾患(たとえば腸回転異常症など)を確認することができる。両術式の利点,問題点をふまえて,それぞれの症例に適した術式を選択することが重要である。

【文献】


1) 佐藤正人, 他:小児外科. 2013;45(5):575-81.
2) 新井真理, 他:小児外科. 2013;45(11):1243-7.

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