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37年ぶりの新設医学部「東北医科薬科大」─開学で東北の医師不足は改善する? 【まとめてみました】

No.4774 (2015年10月24日発行) P.10

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-09

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  • 1979年の琉球大以来、37年ぶりとなる新設医学部が2016年4月、宮城県仙台市に開学する。名称は東北医科薬科大。医療界の反対に遭いながら開学にこぎつけた。東北地方における医学部新設を巡るこれまでの動きを改めて解説する。

    復興支援の特例で新設を認可

    今回、新設が認可された経緯は、かねて医師不足に悩んでいた東北地方が、2011年3月の東日本大震災による影響で医師不足に拍車がかかり、その解消策として東北3県沿岸部16自治体の市長や宮城県の村井嘉浩知事が医学部新設を要請したことに、政府が復興支援の特例で応えたというものだ。

    東北6県の人口10万人当たりの医師数(12年末時点)は209.3人で、四国とは約70人の差があり、全国平均と比べても30人近く少ない(表1)。震災は大きな転機となったが、既に文部科学省では喫緊の課題として、震災前の10年12月から医学部新設を視野に入れた医師不足解消策の検討が進んでおり、新設の機運は高まっていたようだ。

    当初は、仙台厚生病院とタッグを組んだ東北福祉大が有力視されたが、その後撤退。最終的には、脳神経疾患研究所(福島県郡山市)、東北薬科大、宮城県の3者が名乗りを上げた。文科省の医学部新設に関する構想審査会は、東北薬科大の構想について、①患者や教職員の確保に有利な仙台市内に附属病院を保有、②最大被災地の石巻市に地域医療教育のサテライトを設置、③最大70人分の奨学金の確保―など具体策を示した点を評価。村井知事が陣頭指揮をとった宮城県の構想は、「準備不足」との指摘に加え、医療過疎地の栗原市への進出を打ち出したことで教員確保への懸念が示され、選外となった。

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