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C型慢性肝炎に対する新規治療

No.4694 (2014年04月12日発行) P.60

今村道雄 (広島大学消化器・代謝内科学診療講師)

茶山一彰 (広島大学消化器・代謝内科学教授)

登録日: 2014-04-12

最終更新日: 2016-10-26

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近年,C型慢性肝炎に対する新規抗ウイルス薬(direct-acting antiviral agent;DAA)の開発および臨床試験が盛んに行われている。わが国では,プロテアーゼ阻害薬テラプレビルあるいはシメプレビルが,ペグインターフェロンおよびリバビリンとの併用により使用可能であり,難治性であるgenotype 1型のC型慢性肝炎に対しても80%以上の高いウイルス排除率が得られるようになった。しかし,このような強力な治療法をもってしてもウイルス排除が得られない症例も存在し,また高齢者や肝硬変患者では治療の導入自体が困難である。これらの症例に対する治療法として,インターフェロン(IFN)を使用しないDAAs併用療法が開発されている。
DAAは単独使用では容易に耐性ウイルスが出現するが,異なる蛋白を標的としたDAAを併用することで,抗HCV効果を増強するのみでなく耐性変異の出現が抑制される。またDAAs併用療法は経口薬のみの治療であり,安全性も高い。わが国でも複数のDAAs併用療法の臨床試験が行われており,最も進行しているものはNS5A阻害薬ダクラタスビル+プロテアーゼ阻害薬アスナプレビル併用療法の試験である。genotype 1b型C型慢性肝炎を対象とした国内臨床試験では,IFN不適格/不耐容で87.4%(118/135例),前治療無効で80.5 %(70/87例)と高いウイルス排除効果が得られており,肝硬変患者でも慢性肝炎患者と同程度の治療効果を示している(文献1)。重篤な有害事象も認めておらず高い安全性も示されており,この結果をもって近く承認される予定である。

【文献】


1) Chayama K, et al:Hepatology. 2013;58:313A.

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