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原子力災害対策指針の改訂 被ばく医療体制はどう変わる? 【まとめてみました】

No.4770 (2015年09月26日発行) P.10

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-10

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  • 複合災害を想定した医療体制に

    8月26日、原子力規制庁は原子力災害対策指針を改訂した。目的は被ばく医療体制の充実だ。

    従来の被ばく医療体制は、1999年に茨城県東海村で発生した核燃料加工会社JCOの臨界事故の経験を踏まえ、少数で重度の被ばく患者への医療対応を中心に整備された。ところが2011年の東京電力福島第一原発事故では、原子力災害と大規模な自然災害が同時に発生する想定外の事態に。指定医療機関が避難区域に含まれたり、被ばくの可能性がある傷病者の搬送が円滑に行われないなどの問題が生じた。

    このため新指針では、救急医療・災害医療を融合させ、広域にまたがる複合災害で発生した多数の傷病者に対応できる被ばく医療体制を目指した。

    なお、国は福島原発事故後に「原子力災害対策重点区域」を原発8〜10㎞圏から30㎞圏に拡大。これにより、全国21道府県(図1、以下、立地道府県等)で新たな被ばく医療体制を整備する必要がある。

    図1 原子力発電所の所在と原子力災害対策が必要な道府県(9月に営業運転を再開した川内原発以外は運転停止)

      (原子力規制委員会、日本原子力技術協会、日本原子力産業協会資料より作成)

    現在は立地道府県等において「初期被ばく医療機関」(被ばく患者に初期診療を実施)、「二次被ばく医療機関」(専門的な除染や診療を実施)、「三次被ばく医療機関」(高度専門的な除染、診療を実施)のネットワークが構築されている。これを今後は、従来の二次被ばく医療機関にあたる「原子力災害拠点病院」を中心に医療を展開。立地道府県等は原子力災害拠点病院を1〜3カ所程度指定する(図2)。

    図2 被ばく医療体制

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