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黄斑上膜に対する硝子体手術の適応

No.4713 (2014年08月23日発行) P.57

井上 真 (杏林アイセンター准教授)

登録日: 2014-08-23

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

光干渉断層計(optical coherence tomo-graphy:OCT)の普及で黄斑上膜の発見例が増えています。しかし,硝子体手術後も歪視や変視症が改善されないと不満を訴える患者さんが少なくありません。杏林アイセンター・井上 真先生は本症の手術適応をどのように選択されますか。
【質問者】
大野京子:東京医科歯科大学眼科准教授

【A】

ご指摘のようにOCTが普及しており,検診で発見される黄斑上膜の症例が増加しています。黄斑上膜は網膜の内層表面にできますが,網膜の外層が影響を受けないと症状に現れにくいようです。また中心窩を中心に均等に黄斑上膜の収縮が起こっている場合には自覚症状が出現しづらく,中心窩が偏心する方向に黄斑上膜が収縮すると自覚症状が出やすいと考えています。
そこで,OCTで黄斑上膜が見つかっても,すぐに手術を勧めるわけではありません。患者さんの不自由さがあって初めて手術適応となります。具体的には視力が0.7以下,もしくは視力がそれ以上でも変視症が強い場合に手術適応としています。視力がかなり低下してしまった症例では,歪視や変視症が回復せず,不満例が多いと思います。そこで,黄斑上膜による症状があまり進行しないうちに手術を勧めています。
黄斑上膜の患者さんの多くは白内障も併発しており,視力のみでは一概に手術適応を決めにくい場合があります。そのようなときにOCTは威力を発揮します。OCTで網膜外層の視細胞内節/外節(inner segment/outer segment:IS/OS)ラインや視細胞錐体外節端(cone outer segment tips:COST)ラインが術前により良好に保たれているほうが術後に歪視,変視症が少ないと予想されます。しかし,どんなに術前の条件が良くても術後の歪視や変視症は少なからず存在するため,術前に入念に説明する必要があります。

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