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亜急性に認知機能障害が進行した82歳,女性 [国立国際医療研究センター臨床カンファレンス(8)]

No.4726 (2014年11月22日発行) P.44

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-16

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  • 難易度★★★★☆

    司 会:今日は,神経内科の発表です。

    担当医:亜急性の認知機能障害と特異な画像所見を示した例を提示します。
    認知症疑いは日常的に見ますが,急性なら,全身状態不良も疑って感染症などから考えると思います。亜急性や慢性なら鑑別も変わります。初診の状況を示しますが,搬送時は病歴が不明瞭でした(スライド1)。

    会 場:自宅で倒れたのは,意識障害ですか。

    担当医:そのようです,搬送時にはJCS(Japan Coma Scale)3〜10でしたので。錯語も目立ちました。

    会 場:半盲は,どのように判定したのですか。

    担当医:手を急に近づけて,よける動作を見る簡易手技ですが,2カ月前から家族も気づいていました。

    司 会:病歴の初めの頃は,認知機能は微妙な値ですが,その後の悪化が明瞭ですね。

    担当医:はい,MMSE(Mini-Mental State Examination,30点満点)で認知症を疑うのは21点以下です。病歴は前医情報も追加して整理しました。なお常用薬はニコランジル(シグマート),バルサルタン(ディオバン),アムロジピン(ノルバスク),フルバスタチン(ローコール),眠剤でした。経皮的冠状動脈形成術(PTCA)を施行した既往があります。

    会 場:パーキンソン症候群はあると思いますが,その治療はしていなかったのですね。

    担当医:そういう経緯はなかったです。パーキンソニズムと認知症から何か思いつきますか。

    会 場:Lewy小体病とか……。

    担当医:そうですね,ほかにもいろいろありますが,本症例では別の明らかな異常を初めに認めたので,その観点での鑑別を後で出します。搬送時は休日当直の時間帯でしたが,研修医の皆さんなら,まずどんな検査をしますか。

    会場複数:脳の画像を知りたいです。……所見の一部が左右差を含むことにも注目します。……脳内石灰化の前情報は,搬送時に知らなかったわけですね。一般的には脳血管障害,硬膜下血腫などを考えます。あとは萎縮……?

    担当医:一般にそうですね。血液データ(スライド2)では血糖以外に有意な所見がなく,画像が重要でした。以前の画像も後で入手したので,並べて示します(スライド3)。1年で石灰化が増加したのがわかります。

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