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減薬の評価をどう捉えるか [お茶の水だより]

No.4804 (2016年05月21日発行) P.13

登録日: 2016-05-21

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▼2016年度診療報酬改定の大きな特徴の1つが、「薬剤総合評価調整管理料」が新設されるなど、減薬を伴う指導の評価が導入された点だ。今週の「まとめてみました」(14頁)では、ポリファーマシー(多剤処方)に多職種で対応する2つの医療機関の取り組みを紹介した。
▼それぞれの医療機関の医師は改定の内容をどう捉えているのか。矢吹拓氏は「ポリファーマシーに目が向くことはいいこと」とした上で、減薬すれば点数が算定できると単純に判断され、本当に必要か適切に吟味されないままの安易な中止や、診療報酬ありきの減薬が進むのではないかと指摘する。永江浩史氏も、過活動膀胱治療でハードルになる口渇や便秘といった副作用は、ポリファーマシーにより起こりやすくなることから「全体的な減薬は歓迎」としつつ、経営層から算定の指示を受けた一部の薬局で医師とのコミュニケーションが不十分な疑義照会が発生する可能性や、入院時に急性期時点の状況を基に病院が中止した薬剤を、退院後、地域のかかりつけ医が再開しなければならない事態が起こる可能性を懸念する。
▼もっとも両氏とも減薬の評価の方向性自体には概ね賛意を示している通り、厚労省がポリファーマシーの問題に診療報酬から切り込んでいった点は注目すべきだろう。永江氏は今改定により、「患者の個々のニーズに対応する必要性がよりいっそう増したと捉えている」との考えを示し、良い成果を上げる事例が出てくることに期待を寄せる。
▼注意を要するのは、ポリファーマシーにリスクがある一方、減薬にもリスクがある点だ。今改定により患者のメリットになる減薬がどれだけ進むのか、注視していく必要がある。

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