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腸閉塞・イレウス[私の治療]

No.5246 (2024年11月09日発行) P.43

小林陽介 (藤田医科大学総合消化器外科)

大塚幸喜 (藤田医科大学総合消化器外科教授)

須田康一 (藤田医科大学総合消化器外科主任教授)

登録日: 2024-11-10

最終更新日: 2024-11-05

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  • 「腸閉塞」は癒着,ヘルニア,腫瘍などによる機械的閉塞を指し,「イレウス」は腹膜炎などによる非閉塞性の腸管麻痺を指す1)。ヘルニアのうち,腹腔内の裂孔や囊状部に腸管が嵌入するものを内ヘルニアと呼ぶ。腸閉塞の原因は,小腸で癒着55~75%,ヘルニア15~25%,悪性腫瘍5~10%,大腸でがん60%,捻転15~20%,憩室10%とされる2)

    ▶診断のポイント

    【症状】

    腹痛,腹満,嘔気・嘔吐,排ガス・排便停止など。

    【病歴】

    過去の手術歴や腸閉塞の既往を確認する。開腹既往のない症例では大腸癌やS状結腸軸捻転,ヘルニア嵌頓など緊急手術を要する疾患の可能性が高い。完全腹腔鏡手術の既往がある症例では,腹膜欠損部をヘルニア門とした内ヘルニアの可能性を疑う。

    【身体所見】

    腹部膨満は有用な所見である。機械的腸閉塞では蠕動音は亢進するが,絞扼や腹膜炎を伴うと減弱する。腹痛の悪化,限局した圧痛,腹膜刺激徴候,発熱,血圧低下,頻脈は腸管虚血を示唆する。

    【血液検査・血液ガス分析】

    高乳酸血症,代謝性アシドーシス,プロカルシトニン(PCT)上昇,白血球上昇,CPK上昇,AMY上昇などは腸管虚血を示唆する。

    【画像検査】

    造影CTが最も有用である。閉塞機転の特定と腸管虚血を示唆する腸管粘膜造影低下,腸間膜浮腫,静脈血うっ滞,壁内気腫や穿孔によるfree airなどの把握が可能である。腹部X線では腸管拡張と鏡面像(niveau)が典型的であるが,絞扼性腸閉塞や大腸閉塞では無ガス像(gasless)を呈することがある。超音波では腸管拡張(>2.5cm)と腸管内容停滞などを認め,診断には有用であるが虚血の判断は難しい。

    WEBコンテンツ「救急画像診断のロジック〜腸閉塞・イレウス編」

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