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腎臓内科医が腹膜透析(PD)関連の手術を行うことについて

No.5237 (2024年09月07日発行) P.51

鈴木康倫 (福井赤十字病院腎臓・泌尿器科副部長/膠原病内科)

篠崎倫哉 (新百合ヶ丘総合病院腎臓内科・透析内科統括部長/血液浄化療法センター長)

登録日: 2024-09-06

最終更新日: 2024-09-03

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  • 腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)を開始する際やトラブルが生じた際には,カテーテル挿入術をはじめとして手術を要する場面があります。全国的にみると腎臓内科医が手術を行う施設も多いようですが,質問者のように自身では手術ができず外科系の医師に依頼している施設も少なくありません。腎臓内科医自身が手術を行うことのメリットと,手技に習熟するまでにかかる時間や件数などの目安についてご教示下さい。
    新百合ヶ丘総合病院・篠崎倫哉先生にご解説をお願いします。

    【質問者】鈴木康倫 福井赤十字病院腎臓・泌尿器科副部長/膠原病内科


    【回答】

    【PDカテーテル関連手術はPDを管理する医師が行うべきと考える】

    PD関連の手術にはカテーテル挿入・抜去,トンネル感染に対する出口部変更術,大網巻絡などに対するcatheter repair by a forefinger(CRF)法などがあります。筆者は,そのすべての手術を内科医と外科医の区別なく,PDを管理する医師自身が行うべきと考えています。その理由は,まず主治医は患者との信頼関係が構築できていること,タイムリーな対応が可能であること,そして何よりPD導入に対するハードルを大きく下げることにつながるためです。

    現在,日本では透析患者約35万人のうちPD患者は1万人前後であり,非常に偏った治療が行われています。厚生労働省も日本の偏った治療体系は問題であると指摘し,透析療法を在宅医療で行う方向に促しています。透析にかかる医療費削減の意味でも,今後PDへシフトしていくことは時代の要請であり喫緊の課題でもあります。その障壁となっているものの1つとして,カテーテル関連手術に腎臓内科医が関わらないことが挙げられます。実際Asifらは,腎臓内科医がカテーテル挿入術を行うようになることでPD導入例が飛躍的に伸びることを報告しています1)

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