急性中耳炎は耳痛,発熱,耳漏が主な症状である。小児,特に乳幼児に好発し,多くは上気道炎に続発する。肺炎球菌とインフルエンザ菌が2大起炎菌である。
乳幼児が感冒罹患後に鼻漏が持続し,耳痛(乳児では啼泣・不機嫌)や発熱が生じた場合は本疾患を疑う。耳鏡検査により鼓膜の発赤,混濁,膨隆や水疱形成を認める。さらに鼓膜穿孔が生じると耳漏が認められる。治療開始前に細菌検査を行うが,耳漏の細菌検査が困難な場合は,上咽頭ぬぐい液の細菌検査が有用である。時にペニシリン耐性肺炎球菌,βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌などの耐性菌が検出され,耐性インフルエンザ菌は近年増加傾向にある。
小児例では「小児急性中耳炎診療ガイドライン」に沿って,急性中耳炎を年齢,症状や鼓膜所見をもとにスコア化して,重症度に応じた治療が行われる。2歳未満の乳幼児で耳痛と発熱がある場合,中等症以上である。中等症以上では鼓膜切開術も行われる場合がある。抗菌薬はサワシリンⓇ(アモキシシリン水和物)を第一選択とし,インフルエンザ菌が検出された場合はセフェム系抗菌薬などの投与も考慮する。発熱例や鼓膜に高度の発赤・腫脹がある場合,鼓膜切開術が必要になる。
耳痛,発熱があれば以下の処方を行う。
カロナールⓇ細粒20%(アセトアミノフェン)1回10〜15mg/kg(頓用)
抗菌薬投与時,特に高用量投与時は下痢が出現しやすいため,耐性乳酸製剤や酪酸菌製剤を併用する。
ビオフェルミンRⓇ散(耐性乳酸菌)1回0.5g 1日3回(毎食後)
上記に加え,重症度に応じて下記の抗菌薬を投与する。投与から3〜5日後に効果判定を行い,改善がない場合,二手目,三手目へ移行する。
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