中央社会保険医療協議会は1月17日、2024年度の薬価制度、費用対効果評価制度の見直し案を了承した。いずれも昨年12月中にまとめた骨子案の通りの内容となっている。
薬価制度の見直しのうち、ドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けたイノベーションの評価では、既存の「先駆加算」に準じた取り扱いとして「迅速導入加算」を新設。国際共同治験の実施や、承認時期が欧米よりも早いまたは欧米で最も早い承認から半年以内の品目に該当することなどを要件として求め、加算率の範囲は5〜10%とする。
「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」は、企業の革新的新薬開発の取り組みを企業指標に基づいて評価し、加算額を調整する仕組みを廃止。その上で、特許期間中の薬価改定時には原則として改定前薬価を維持できるように、加算額の計算式を見直す。
市場拡大再算定については、類似品の薬価も連座的に下がるルールを見直し、あらかじめ中医協が特定した領域(免疫チェックポイント阻害薬等を想定)の品目は類似品の対象から外す。この取り扱いは、24年度の四半期再算定から適用する。後発医薬品の安定供給確保に向けた対応では、企業の安定供給への取り組み状況を3段階で評価し、薬価に反映させる仕組みを試行的に導入する。
費用対効果評価制度は今回、比較対照技術の設定に関する考え方の明確化などを行うが、費用対効果評価の結果を踏まえた価格調整の対象範囲の見直しや、介護費用の分析の取り扱いといった重要課題については、結論を得るには至らず、26年度診療報酬改定に向けて議論を継続することになった。
同日の中医協では、24年度薬価改定において23成分38品目に市場拡大再算定を適用し、薬価を引き下げることも了承された。対象品目には、新型コロナウイルス感染症治療薬の「ベクルリー点滴静注用」(成分名レムデシビル)も含まれる。また、抗癌剤の「オプジーボ点滴静注用」(ニボルマブ[遺伝子組換え])は「バベンチオ点滴静注」(アベルマブ[遺伝子組換え])の類似品として再算定が適用されることになった。再算定適用後の薬価は3月上旬に告示される見通し。