中央社会保険医療協議会は12月15日、長期収載品の保険給付範囲の見直しに関する厚生労働省の提案を了承した。長期収載品を使用する場合に患者から徴収する追加負担の水準として、長期収載品と後発品の価格差の1/2、1/3、1/4に設定する3案を提示。このうちどれを選択するかについては、政府が2024年度の予算編成過程で最終判断する。
見直し案は、長期収載品の使用における保険給付と選定療養の線引きについて、①医師が医療上の必要性から銘柄名処方(後発品への変更不可)をした場合など、医療上の必要性がある場合は保険給付とする、②銘柄別処方の場合であって、患者の希望で長期収載品を処方・調剤した場合や、一般名処方で長期収載品を調剤した場合は選定療養とする、③薬局に後発品の在庫がないなど、後発品の提供が困難な場合は保険給付とする―などと整理した。
選定療養の対象となる長期収載品の範囲は、後発品の置換率に応じた薬価引き下げルールの適用開始時期に合わせ、後発医薬品上市後5年を経過した品目及び、5年を経過していなくても後発品への置換率が50%に達している品目と定める。
患者から徴収する追加負担の水準は、長期収載品と後発品の価格差の1/2、1/3、1/4の3つの選択肢を提示。長期収載品の薬価を超える負担の徴収や、逆に国が示す標準よりも低い額での徴収や、そもそも負担を徴収しない対応は、後発品の使用促進という施策の趣旨に反するため、認めないこととする。なお、追加負担を算出する際に基準となる後発品の薬価には、三価格帯のうちの最高薬価を採用する方針が、前回までの議論で確認されている。
厚労省のシミュレーションによると、長期収載品の薬価が500円、後発品の薬価が250円のケース1の場合、窓口負担3割の人の長期収載品に対する自己負担額は、①現行・150円、②価格差の1/2を追加負担・250円(現行との比較・100円増)、③同1/3・217円(67円増)、④同1/4・200円(50円増)―となる。長期収載品が500円、後発品が150円と価格差がより大きいケース2の場合は、①現行・150円、②1/2・290円(140円増)、③1/3・243円(93円増)、④1/4・220円(70円増)―となり、ケース1よりも追加負担額が大きくなることを示した。