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四肢の急性浮腫を訴えた63歳男性[キーフレーズで読み解く 外来診断学(306)]

No.5199 (2023年12月16日発行) P.1

鈴木慎吾 (千葉中央メディカルセンター内科)

辻 正徳 (千葉中央メディカルセンター内科)

山本和利 (千葉中央メディカルセンター内科)

新 健太郎 (千葉中央メディカルセンター循環器内科)

生坂政臣 (千葉大学医学部附属病院総合診療科)

登録日: 2023-12-14

最終更新日: 2023-12-12

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2~3日前から労作時の息切れ,食思不振,および両下腿浮腫が出現し,さらに前日から両上肢にも浮腫を認めたため受診した。既往歴や内服薬はない。

体温35.9℃,脈拍104回/分(整),血圧132/76mmHg,呼吸数18回/分,SpO2 97%(room air)。身体診察では四肢にpitting edemaを認めるが冷感はない。頸静脈は怒張し,hepatojugular reflux陽性。心尖部を最強点とするLevineⅡ/Ⅵの収縮期雑音とⅣ音を聴取した。腱反射は保たれており,感覚障害を認めない。

血液検査の異常値は,Hb 10.7g/dL(MCV 98fL),TP 6.5g/dL,Alb 3.6g/dL,T-Bil 1.7mg/dL,D-Bil 0.8mg/dL,AST 66U/L,LDH 581U/L,CRP 0.57mg/dL,BNP>800pg/mL(基準値≦18.4)。甲状腺機能は基準値内。血液ガスでは乳酸アシドーシスを認めた(乳酸値2.8mmol/L)。

心電図は不完全右脚ブロックのほか特記事項なし。心臓超音波検査では左房・右房の拡大と中等度の三尖弁逆流症,軽度の肺動脈弁逆流症,肺高血圧(推定肺動脈圧77mmHg)を認め,左室駆出率(LVEF)は68%で壁運動異常はない。胸部X線写真を示す(図1)。

研修医の診断肺血栓塞栓症による右心不全

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