2~3日前から労作時の息切れ,食思不振,および両下腿浮腫が出現し,さらに前日から両上肢にも浮腫を認めたため受診した。既往歴や内服薬はない。
体温35.9℃,脈拍104回/分(整),血圧132/76mmHg,呼吸数18回/分,SpO2 97%(room air)。身体診察では四肢にpitting edemaを認めるが冷感はない。頸静脈は怒張し,hepatojugular reflux陽性。心尖部を最強点とするLevineⅡ/Ⅵの収縮期雑音とⅣ音を聴取した。腱反射は保たれており,感覚障害を認めない。
血液検査の異常値は,Hb 10.7g/dL(MCV 98fL),TP 6.5g/dL,Alb 3.6g/dL,T-Bil 1.7mg/dL,D-Bil 0.8mg/dL,AST 66U/L,LDH 581U/L,CRP 0.57mg/dL,BNP>800pg/mL(基準値≦18.4)。甲状腺機能は基準値内。血液ガスでは乳酸アシドーシスを認めた(乳酸値2.8mmol/L)。
心電図は不完全右脚ブロックのほか特記事項なし。心臓超音波検査では左房・右房の拡大と中等度の三尖弁逆流症,軽度の肺動脈弁逆流症,肺高血圧(推定肺動脈圧77mmHg)を認め,左室駆出率(LVEF)は68%で壁運動異常はない。胸部X線写真を示す(図1)。